さよなら、アニキ

今日で11月も終わり。

今は職業訓練校で床上操作式クレーン(通称ホイストないしペンダント)の技能講習に励んでいる。

そんな中、職業訓練校を今日で早期退所する方がいる。

それがアニキ(仮名)である。

アニキは、見た目こそややチャラい(タトゥーが入っている)が、性格は気さくながらも真面目でメリハリがあり、器用にものごとをこなし、訓練成績もトップクラスである。

だから、私を始めとする、職業訓練校のクラスメイトからはいつも頼られていた。

アニキは、大手化学系メーカーで機械オペレーターをしていたが、業績悪化に伴い、今年3月に希望退職。

しかし、アニキはそのピンチをもいいチャンスと捉え、今年6月までに

大型自動車、けん引、クレーン・デリック(クレーン限定)

の各免許を取得。

そして、今年7月、同じ職業訓練校に入った。

出席番号順で、アニキと隣り合わせだった私は、訓練の待ち時間、いろんな話をした。

職業訓練が始まって、最初のフォークリフト技能講習が終わったあとくらいのタイミングで、私はアニキから

「オレは、クレーンオペレーターがやりたいんだ。育ち盛りの子どもたち食べさせるためには、給料のいい仕事しないといかんから。」

と志を聴かせてもらった。

そのときにはすでに、明日からアニキが働く先で操作することになる、移動式クレーンの学科試験に、アニキは合格していた。

就職の方向性を職業訓練校のクラスメイトの中でもいち早く決めていたアニキの最大のハイライトは、今年9月、アニキが車両系建設機械(通称バックホーないしユンボ)の実技試験で満点を取ったこと。

コロナワクチン2回目接種の翌々日で体調が良くない中、なおかつ、移動式クレーン実技試験(一発試験)(アニキが任意で受けた)の直後という悪条件下でのアニキのベストパフォーマンス。

職業訓練校のクラスメイトはみんな総立ちで拍手していた。ここからアニキは周囲から一目を置かれるようになる。

さらにその月末には移動式クレーンの実技試験に合格したことが発表され、見事、移動式クレーンの免許を取得。

その後も移動式クレーンを公道で走行するために必要な大型特殊自動車免許や玉掛け技能講習も難なくクリアしていった。

私が思う、アニキのすごさは器用なことももちろんあるが、それ以上に目的意識をハッキリさせてチャンスを逃さない鋭さ。

ここにあると感じる。

それがあるから、前向きに職業訓練に取り組めて、周囲の士気も上げることができて、就職もすぐに決まったんだと思う。

お恥ずかしながら、今後リストラやクビに遭いたくなくて、闇雲に技能講習を集めに行ってる私とはまるで違う。

明日からは職業訓練校のクラスメイトよりやや一足お先の社会復帰。

移動式クレーンオペレーターという危険で難しい仕事だから、不安なこともあるだろう。

だけど、私は確信している。

アニキなら、何とかやっていけちゃうことを。

それくらいの安心感を周囲に与えられる人に私もなりたい。

それでは、今日はこれくらいにしておこう。

追伸 最近終わった日本シリーズになぞらえて、最優秀殊勲訓練生を選ぶのであれば、当然、私はアニキを推す。それくらいの貢献をアニキはしてくれた。残り15日の訓練、アニキが職業訓練校に残した爪跡を噛み締めながら、最後まで私は頑張りたい!!